自分を信じる力 福岡堅樹

ノンフィクション


 ラグビー日本代表を経験し、ワールドカップ2019を大いに盛り上げてくれた、ウィング
の福岡は、ラグビーを愛してやまなかったわけではない。しかし、人生の隣に常にラグビ
ーがあった。そして彼が目指したのは医師という職業である。「二兎を追う者は一兎をも
得ず」というが、彼は常に二兎を追っていたのではないということがよくわかる。その時
々に自分ができることを考えて、必要な力を必要な場所に向けていた。そして、何を目指
すにしても努力の方法は違うにせよ、基本的なマインドセットや生活習慣は変わらず、自
分を理解して取り組むことがいかに大切であるかを考えさせてくれる。

 1992年生まれの30歳が医学を目指す道半ばにして書いた自伝である。その内容のほとん
どはやはりスポーツ、ラグビーを通しての経験から残された言葉が多い。ひとりのアスリ
ートの言葉としてとても響くものがある。ところが、この言葉はこれからもラグビー選手
としての自分に向けられたものではなく、別の道、ここでは医学部への進学に向けての自
分の意識を確認していく道のりであるようにも捉えることができる。福岡の言葉の中で感
じることは、要所要所での決断を自分でしてきたことだ。自分で決めたこと、自分の可能
性を信じて進んできたことが力になっているし、自己分析をしながら自分の方法を確かめ
て前に進んでいる。そして、何よりも感情を言葉に変えて伝えるということを幼少時代か
ら親に教えられてきたというように、言葉で表すことで客観的に自分を評価していること
が伝わってくる。

 やっぱり大切なことは、大きな木であれば根っこなんだなぁと感じる本であった。

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