OUT(桐野夏生)

小説

年末年始の読書で何を読もうかなぁと思いながら、「燕は戻ってこない」を思い出して、図書館で手に取った。かなりの長編小説であったが、チャレンジしてみようと思ったのだ。

やっぱり、長編小説は短編と違って、次が気になる。そして、今回の小説も面白い。それも、完全にOUTな内容なのだ。現実離れしながら、どこかでとってもリアルに描かれている。ちょっと、朝井リョウの「正欲」を思い出しながら、これは正しいとは言えない欲だと否定する。

ページをめくるごとに登場人物の誰もみんな不幸に向かって進んでいく。開けていけない扉を開けて、前に進むともう元の世界には戻れない。人を殺して傷つけることに対しての何とも言えない嫌悪感とそこにある新たなる感情がドキドキハラハラを増加させていく。話の流れはどんどん広がっていくと思えば、それぞれの小さなストーリーはあっけなく終わり、最後は一点をどんどん奥へ突き詰めていく。大きく広げた風呂敷はここを包み込むためのストーリーだったのかと思うほどに。

年末年始の少しの時間をとても有意義に過ごすことができた物語であった。こういうドキドキハラハラをまた味わいたいと思う。ちょっと、桐野夏生にハマったかもしれない。

人が殺される物語でありながら警察が事件を解決するわけでもなく、人が次々と死んでいくシーンは淡々と進んでいく。こういう物語は全くリアルではないけれど、どこか心の中ではリアルに感情を動かしていくところが面白い。

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