食堂かたつむり

小説

 料理がテーマになった小説を探していて、出会ったのがこの小説である。

 失恋からぬか漬け以外の全てと、声すらも失った倫子が主人公となる物語。料理がキーワードになりいろいろなエピソードを創り出していくが、最後は親子の絡まった糸をほどいていく。

 おいしい料理が多くの人を幸せにする。その向こうには母親の思いがある。そして、そんな母親との確執を乗り越えるためにも料理が登場し、最後には倫子自身の課題も解決していく。

 一つのエピソードをどうとらえるかはその人次第である。読みながら、そう考えるのかぁ、やっぱり物語だなぁなんて思いながらも登場人物の人となりを素直に受け入れて寄り添うのが小説を読む楽しさである。料理の持つ力と、食材や料理そのものの作り手の思いがこもった料理を味わうことの喜びを感じる小説であった。

 なんか、切ないけどほんのり温かい小説だったなぁ。

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