向日葵の咲かない夏

小説

 ぞくぞくするような小説だと言われて紹介された。その通りにゾクゾクしながら読み進めたミステリー。ありがたいことは、死んだ人が小動物に宿ってしゃべりだすという現実では起こらないことをあっさりと何の疑いもなく書いてくれたことだ。おかげでリアルな恐怖を感じずに物語の中でドキドキすることができた。

 主人公は小学生…でも、本当にそうなのだろうか…。読み終わってもスッキリしない。この読書後の残る重い空気は何だろうか…。しっかりと後味まで悪くしてくれた。親戚の家に引き取られるということは、死んでしまったのだろうか。そして、それでも会話しているということは、小動物に宿ったのだろうか。

 気持ち悪いなぁと思いながら、ページをめくるのがやめられなくなる。この気持ちは、クモの居る瓶に、女郎蜘蛛を入れた気持ちと同じなんだろうか。人の持つ、とても醜いものがたくさん詰まった小説だった。

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