アフターダーク (村上春樹)

小説

村上春樹である。
やっぱりゴールのない話であった。そう思う僕の読み方が浅いのかもしれないと感じる。
これまでにもいくつかの村上春樹の本を読んだ。
東野圭吾の小説のように最後に犯人が書かれることはない。
重松清のようにほっこりする思いやずしっと重いものを心に残すわけではない。
でも、ふとした一文の中に「はっ」とする単語がある。
そして、二つのことを言っているようなんだけど、それは自分の中にあるものをさしているようにも感じる。
「これで終わりか」と思えてしまう。でも、頭でない脳でない心の感じに触れているように感じるから不思議である。
今回読んだのはアフターダーク。
夜中の町での一晩のことが絡み合いながら書かれている。
それぞれに課題があり、それぞれが矛盾していて、全部がひとつの心の中にあるように。
現実を書いている中で、不思議な世界へ導かれ、優しさと暴力が背中合わせで、自分が惹かれて行く中に自分の問題を見つけていく。

その後に続けて手に取った本が「村上春樹、河合隼雄に会いに行く」である。
この2人の会話の中に村上春樹の書きたいことがようやく少し理解できるように感じた。
まだまだ、読んでる途中である。
少しこれまでと村上春樹の見方が変わった。
見方が変わると、情報が違って見える、物語は違うものとなる。
なんて見る目のない、感性の低い男だったんだと自らを恥じる。

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