魂を養う教育 悪から学ぶ教育 (曽野綾子)

教育

 最後まで読んでみて、なかなか難しいというか厳しい内容であった。人間に対してひとつひとつの考えがとても厳しい。他者に対する一種の諦めがあり、そのうえで自身への厳しさがある。こういう母を持つ子どもはどう育つのだろう。「私の母は○○に厳しかった」という書き出しを何度か目にするが、古きよき時代と思いながら深く考えずに字面を読み進めてしまう。子どもたちに物事の危険を教えずに取り上げて安全の中で純粋培養のように育てるのは確かに危険である。他人を簡単に信じてはならず、疑ったうえでの信頼を教えることの必要性もよく分かる。いろいろな事件が起こり、それに対処する方法について多くの場面で曽野綾子の話に共感できる。それでもやはり厳しいのだと思う。

 著者の背景にカトリック教徒というものがある。教育という子どもを育てる方法論の中に、宗教を利用しないが、著者の宗教観を感じる内容が非常に多い。人に与えることを良しとする、その姿勢を如何に教えるのかが実際はとても難しい。自分が与えられた経験があってこそ、与えようと思えるのだろう。果たして学校という場所にそんな機能があるのだろうか。他者と合わせることを学び、偏った学力観を植え付けられていくような所だ。

 曽野綾子のこれまでの著書の中から、教育というキーワードを元に編集された本であった。時に正し過ぎて、時に厳しさがが辛くて、時に机上の空論のように感じながら、崇高なる理念を読み続けてきた読書は中々辛く、聖書のような倫理観に眠くなること多数で、最後まで読むのにとても時間がかかってしまった。

 できれば「清濁合わせ飲む」そんな教育論を聞きたかったと思うのだった。

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