最近は、図書館で本を借りるか、ネットで買うかということが多かったが、子どもが海外に旅に出ると言うので日本語が恋しくなるからと、本屋に寄って手に取った一冊である。
燕は戻ってこない…どこかで聞いたことがある。最近読んだ本の参考文献にあったような…そんなことを思いながら、本屋の書架に並んだこの本に手を伸ばしたが、残念ながらなんの本に載っていたのかは読み終えてもなお思い出せない。
テーマは代理母出産についてである。貧しい生活に嫌気がさした20代最後の女性が社会貢献という名目で代理母となる。片や、依頼主は有名なバレーダンサーでお金はあるので散々不妊治療をしてきたが、もう妊娠の可能性がない夫婦。不妊というのは、散々避妊した結果として知ることが多く、振り返ると自然は最後まで人間にはコントロールできないと感じさせる。高校時代に習った家族計画なんて本当にあてにならない。
さて、いきなり代理母となるわけではなく、その前に卵子提供をするということから、行ったら場所で代理母を持ちかけられる。この物語の中には風俗で働くひと、卵子を提供すること、代理母として子宮も貸し出すこと…それがビジネスなのか社会貢献なのか、何に対する対価なのか、どれは受け入れられて、男なら女ならどうなのか?と…抱える問題がとても大きく広い。
男が読んでて、自分たちにはできないから、勝手なことも言うし、自分の都合をだしてしまうのもなんとなくわかる。
そして、女性はこうあってほしいという身勝手な考えをえぐられるような思いもした。問題提起ばかりの物語であり、問題を解決することが求められるのではなくその問題をどう受け止めるのかが問われているようにも感じる。
親子とはなんだろうか…。母とはなんだろうか…。自分の身体はどう扱うべきなのか…同様に相手をどうしたらよいのか。この物語はそういう問いにに、登場人物が好き勝手に口を挟む。そして、結論はないままに読者の中に問題だけを残していく。
読み終えても、全くスッキリしないというのが自分の感想であるし、そう感じる人が多いのではないだろうか。
倫理というのか、価値観というのか、そういうものを左右しながら、科学技術の進歩が思ってもない世の中を作ってしまうのはどの分野でも同じだ。しかり、生命の長短に関わることでも議論が起こるが、生まれることに関わることとなると…。
いろいろな感情を揺さぶられる主人公と同様に読者も揺さぶられながら、最後まで読み切る。そして、このあとどうなるのかと考えながら、ある意味その程度でそれまでの問題提起を忘れて本を閉じることができてよかったのかもしれない。



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