異邦人(いりびと)原田マハ

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 なんだか、読書から少し離れてしまった時に、小説でも読んでみようと思うのだ。そして、いつも持ち歩けるような物を求めて、文庫本を選ぶ、では誰の小説を??と思いながら図書館を歩き回っていると原田マハの小説に出会ったのだ。

 読んだことないなぁ、と思いながら手にとって幾つかの他の本と共に借りてきた。最初は画廊の後継息子と、お金持ちのお嬢様が結婚し、子どもを身籠ったことと、原発事故の影響を恐れて京都へしばらく住むこととなり、そんな内容がどんなふうに展開していくのだろうか?と思いながら、そのお嬢様の母親と画廊の後継息子との危ない関係について読む中にある一文「一流の画商は、簡単に得意先の婦人と関係を持ったりしない。いつそうなってもいい、という空気を身にまといながら、そうはならずにおく。それがコツなどと、いったい自分はいつのまにおぼえたのだろうか。」にとても深さを感じたのだが・・・。

 最初は読みにくさと言うかなかなか頭に入ってこない内容が、読み進めていくうちにグッとのめり込んでしまうのが原田マハの小説である。何せ美術にほとんど興味の無い自分がこうやって美術品を扱う小説にはしっかりとのめり込むのだから不思議だ。

そして、ちょっと男女の関係をほのめかしながら、残りページが少なくなったところからの、話の展開が一気に面白くなり、読まずにはいられない。最終的にそうなるのかと、切なくもなるし、それでいて先の内容を求めてしまう終わり方だった。

あぁ、面白い小説を読みました。

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