サピセンス全史 (ユヴァル・ノア・ハラリ/柴田裕之訳)

ノンフィクション

勧められて手に取った本である。文庫本が世の中には出回ってりるが私は図書館で厚いハードカバーを借りてきた。上下巻に分かれた2冊は2016年に初版が発行されている。

これまで私たち人類が地球上でどのような進化や発展をしてきたかは、学校の歴史の授業である程度は習ってきたが、戦争の勝者が正しいという歴史を教えていくのと同じようにいま地球上で最も幅を利かせているサピエンスがやってきたこと、やってきたと思われることを、「正しい」のかどうかの疑問を投げかけながら話は展開していく。

地球上に人類が誕生してから、狩猟を中心とした時代、農耕を中心とした時代、貴族などの一部の人が支配してきた時代、国家が社会的な責任を受け負う時代、過去からの流れをみていく。科学技術の進歩に関しても、水を沸騰させる火薬で爆発させるというエネルギーの活用法について、工業的に用いるまでにどれほどの年月をかけたのか、ところが工業化がなされた後の技術進歩は急激に加速して同じ時間感覚では語れなくなってきている。さらには、科学技術の発展が生命の尊厳や社会的なあり方にも関与をしてきて、その研究の行く道次第では私たちの未来は大きく左右されるものになる。最後の章を読みながら、出てくる年号は初版が出される前の年号であり、急速の技術進歩の中で果たして私がこの本を手にした2024年にはすでにどこまで進歩(破滅への歩みを進めている)しているのだろうかと・・・読んでいて恐くなる。

今回改めて感じたことは、自分の持つ課題に対して読書はリンクするということだ。この春に新しい仕事をすることになった。たまたま手に取ったこの本がその仕事に直接的ではなくとも関係していることに気がついたときに、読書ってすごいなと改めて感じることができた。人との出会いも同じだと思うが、自分が必要としているとき(そのアンテナを自分が伸ばしたときに)に、自分のまわりにある情報に気づくのだとわかった。普段何気なく見ているものや人は、自分次第で大切な出会いに変わるんだなぁ。

ハードカバーで読んだけれど…文庫版も電子書籍も出ています。世界中の人たちが読んで、多くのリーダーが影響を受けているとも聞きます。

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