読書嫌いのための図書室案内(青谷真未)

小説

部活か委員会活動かどちらかに入らなきゃいけない学校ってまだあるのかなぁ。昔は…必ず部活やらなきゃいけなかったなぁ。なんて思いながら、そんな時に、本を一度もまともに読んだことのない主人公が選んだのは楽そうだからという理由で図書委員を選んだ。めんどくさいことから逃げようとすればするほどに深みにハマるというのもよくあるパターン。

図書新聞をつくるいう先生からの無茶ぶりに、しっかり乗っかっていくところが小説らしい。でも、一冊の本をどう読むかは、人により、時により、環境により、〇〇によって全くかわる。なので、同じ本の感想文を複数載せるのは興味深い。

そして感想文を頼む中でいくつもの物語が重なる。主人公はもともと美術部で、その先輩のとの物語が始まる。過去の出来事が感想文から明らかになり、そして、いくつもの解釈からその人に必要な解釈を見つけて背中を押す。

そして、ヒロインと呼ぶべきか主人公とは対象的に読書の虫の女子生徒の存在が大きな影響を及ぼす。普段はボソボソと自信なさげな彼女が本のこととなると力強くなる。そんな彼女の成長も面白い。

生物の先生が個性的でつかめない。そんな先生に感想文を頼みに行くと逆に感想文を書くように言われて物語が進む。ただ、ちょっとミステリーを意識したのは蛇足だったようにも思う。

珍しくストーリーを長々と書いてしまったが、こんな風に本を好きになる生徒がいたら面白いし、なんなら感想文を頼みに来たら喜んで引き受けちゃうかなぁと思いながら読むことができた。一冊の本をきっかけにして新しい物語が生まれるってなんとも素敵なことで、こうやっていろんな人の感想文が載る図書新聞がある学校って羨ましいなぁって思えてくる。

図書室が誰かにとっての特別な空間なのは間違いない。

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