ベロニカは死ぬことにした

小説

 紹介された最後の本。パウロ・コエーリョの作品である。自分の生活の中でなかなか時間を作ることができずに時間をかけて読み終える結果となった。自分は狂ってなんかない、そう泣き叫んだときに、やはり周りは狂っていると思うであろう。精神病院の中でも現実社会と変わらず理解されるものとされないものがいてグループが出来てゆき互いを揶揄する。

 どんな世界であれ人間関係の構造は変わらないのかもしれない。途中で、邪道ではあると思ったものの、Amazonプライムで日本で映画化されたことを知り、見たら読むのをやめてしまうかもしれないという懸念もありながら見てしまった。日本国内の物語であるように映画化されたものを見て、長く時間をかけて読んできたものを再確認すると共に、見通しを持つことができた。ただ、やはり原作との違いは大きかった。

 最後まで読んで、ベロニカは死ぬことにしたという題名の意味がわかったように思う。ベロニカ自身がそうしたわけでなく、医院長がそう決めたのだと。その両方に意味はある。自殺志願者に、余命を宣告することと、実際に死の恐怖を感じさせることで、生きることを意識させるというのは現実では許されないことであって小説の世界の話であるが、その効果はかなりあるようにも思う。

 さて、一連のパウロ小説を紹介してくれた人は、今は実際にブラジルに住んでいる。そして、その世界を楽しんでいる。水槽の中はどちらかは見方によって変わるが、そのなかで幸せな生活をしてほしいと願うばかりだ。

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