11分間

小説

 ある人に勧められたセックスについての話。でも石田衣良のように官能小説ではない。一人の娼婦がセックスを通して、愛を理解していく。誰も娼婦になりたいなんて思わないが、ちょっとしたきっかけが重なることで、若さゆえに道を踏み外す。

 11分間の行為は、人により求められるものが違い、そのなかで彼女は本当の愛を探していく。映画のようなエンディングを望み、しかし、エンディングの後を恐れている。痛みが快感になるときがあり、触れているだけですべてを感じることもあり、性欲だけの行為にもなれば、愛を確かめる行為であり、それが人に言えないがゆえに、自分勝手な理解で納得しようとしてしまう。

 深く考え深く理解し、その先にあるものを受け入れていくための物語であった。

 さて、これを勧めてくれた人は、とても素敵な人だった。アルケミストから、違う方向性で、愛と人生の深さを教えてくれた。どこかで聞き、どこかで感じた思いは、この小説のなかでも見つけることができたのだ。

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