ハンチバック(市川沙央)

図書館と司書

 今年の直木賞受賞作として話題を集めている本です。学校の図書館に置いていいか判断に困るからちょっと読んでみてといわれて手に取った純文学。純文学とはなんぞや、と俄か読書家の私は思う。世の中には表現の自由があって、基本的には本の中での空想は邪魔されるべきではないと思う。でも、今回の内容は、なぜそこで題材に性を持ち出すのだろうか…と思ってしまう。だから注目されたのかもしれないが。

 ちょっと、気になってネットで受賞する場面を調べてみると、本の中から切り出される文章はやはり障がい者の生活の部分であって、性の描写はではない。そんなニュースをみて手に取ったら…読む本を間違えたか?と思ってしまう。

 長編小説でもないので、読みだせばそんなに気合を入れなくても読み切れる本ではあるが、それでもいろいろな考えが頭を渦巻きながら読み進めることになる。衝撃を与えたといえば与えたが、それは障がい者の読書バリアフリーについてというよりも、著者に重ねて読んでしまうという、リアルと小説の境目を考えてしまうのが、情けない陳腐な読者の私である。読書のバリアフリー化には大いに賛成するが、小説の内容は賛否両論あるものだと感じる。

 結論、「学校図書館にはそぐわないと思います。閉架に置いておきましょう。」というのが私の返信になる。大学図書館くらいなら良いかもしれないけれど…。しかし、こうやって内容を確認しながら本を並べるかを考える人がいてくれるというのは何とも手厚い情操教育である。

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