星々の舟 (村山由香)

小説

先日、重松清の「ポニーテール」で再婚家族について考えたが・・・。平行して読んでいたこちらも再婚家族である。しかし、起こっている問題はまったく違う。
著者の本には官能的なものが多い・・・とは言っても前回、ダブルファンタジーを読んだからそう思っているだけかもしれない。
ただ少しだけ「うーーん」と思ってしまったのは戦争や従軍慰安婦にまで話が広がってしまったことだ。
性のことになると男は(と一般化してはいけないのかもしれないが)弱い。
私はそれは生まれや育ちではなく生物学的にそうだと思うようにしている。
話は戻るが、再婚家族から誕生した子どもたちのその後や父親のかつてについてそれぞれ性にまつわる話を絡めながら進んでいく。一つ一つは連載の短編なのである。
こうやって広げた話はどうまとめられるのかと考えながら当たり障りのないようにまとめられ、読者である私をちょっとほっとさせてくれる。
戦争と従軍慰安婦の部分は文章以上に考えてしまうところであり、人間が人間でなくなっていく過程をうまく表現してあった。戦後の早稲田ラグビーをつくった大西鉄之助も戦争と言うものは人間を簡単に人殺しに変えてしまうと言っている。だからこそ、そうなる前にしっかりとした対処が必要だと。それがスポーツでありラグビーでの判断力だと・・・。この本を読んで感銘したわけだが、今回の中に出てきた経験がこんなことしちゃいかんと今の時代に読むとそう思わせてくれる。

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