成瀬は天下を取りにいく(宮島未奈)

小説

爽やかな小説だなぁ。リズムがいい。面白かった。今年の本屋大賞に選ばれたのがなんとなくわかる。ターゲットを選ばない。成瀬あかりという少女の成長日記のような物語。

いくつもの短編が積み重なりながら、ちょっと変わった成瀬の突拍子もないエピソードが繰り広げられる。その全てがしっかり素なのだ。
細かいことを気にしない真っすぐなそんな彼女が贈る青春ストーリー。

西武が撤退することが物語の真ん中にあって、枝分かれしながら人間関係をつなげていく。自分の街が大好きで、変わっていく環境の中で異世代間のつながりができていく。変わっていくいくのは街も環境も。あっという間に中学生は高校生になり、次のステージへの準備が始まる。成瀬に注目している間にしっかり幼馴染の島崎しおりが成長してるところが興味深い。

最後の章は、ちょっと状況が変わる。成瀬が成長する瞬間をコマ送りでみているようなイメージだが、もうページ数も少ないと思う寂しさと、これまで当たり前だったことが変化していく中で、自分と向き合っていく。読み終わって心にささくれみたいな引っかかりを残して終わる物語だった。

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