蜜蜂と遠雷

　結構な時間をかけて読んできた。さて、なぜこの本を手に取ったのか、覚えていない。ピアニストたちのコンクールの話であるが、音楽の才能０な僕には読み始めるまでのハードルが高かった。

　読んでいくとこれがなかなか面白い。ピアノの音をどう表すのか…その表現力の豊かさに驚く。音楽は物語になっていく。普段耳にする音楽が、こうやって言葉で、物語で聞こえてくるとすればなんと楽しいことだろうか。そんなことを想像しながら読み進めていく。

　もともと自然のなかにあった音楽を切り取って演奏していたのが音楽の始まり。それがいつの間にか、譜面のなかだけの音楽となり、窮屈なものとなっていった。そして、優秀なるピアニストたちがその音楽を自然の中に返すのである。

　こんな経験してみたいと…とっても羨ましく感じた僕は残念ながら音痴なのである。