本との出会いにはいろいろな方法がある。自分にアンテナさえあれば、「あぁ読んでみたい」につながる。今回は本にではなくPOP展を観覧して、気になったのが「走れ、走って逃げろ」だった。第二次世界大戦における一人のユダヤ人の体験に基づいて書かれた本である。ドイツに占領されたポーランドに住んでいたユダヤ人の少年のお話。
ポーランドとて、ドイツに占領され、ポーランド人領区があり、ユダヤ人が集められたゲットーと呼ばれる場所がある。そして、その中で生きていくことも悲惨であるが、そこにいることは=死ぬのを待つことに近い。そこから逃げ出そうとして、殺された人たちがいる…それでも生きるために逃げ出して、みつかれば殺されるという中で自分を偽りながら生きていく。
生きたいという思いの強さよりも、そう思わなければ生きていけない時代は、環境のせいではなく戦争、ナチスの思想がもとになっていることに憤りを感じながら読み進める。しかし、そんな中でも、その純血政策に従う人がいる一方で、そうでない人たちのやさしさの連鎖が彼を救い、救われたかと思えば、やはりいわれもない人種差別によって迫害され、殺されていく仲間たちを見ながら必死に生き抜く姿こそ、紙一重で命をつなげてきたのではないかという経験談である。
怪我から腕を失った。治るはずだった怪我も、ユダヤ人の手術はしないという頑なな医師によって、壊死してしまった。しかし、治療をしてくれる医師もいて命が助かる。腕を失ったことであきらめるのではなく、生きるためにトレーニングを積んで、それでも生き抜く。そのタフな精神に感銘を受ける。
最後は教師になるというわけだが、まさに適職ではないだろうか。生きるんだ、どんな困難も乗り越えるんだ、自分を変えていくことで乗り越えるんだ…そうやってきた経験から後世に伝えるものは大きい。その時代時代に応じた生きづらさがあるけれど、それでも生きようとすることを求め続けて成長していくことの重要さを感じた。
一枚のPOPとの出会いが、私に多くのことを教えてくれた。



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