図書館にふらりと行ったときに、目に止まった本である。手に取ると、小学生でも読めるように漢字にはルビがあるし、行間も広く、そう、どちらかといえば小学生に向けて書かれたような印象を受ける。普段なら、そのまま書棚に戻すところであるが、最初の〜引き分け〜という章をさらっと読むと、もうその内容に夢中になる自分がいた。
2021年1月3日に花園ラクビー場で行われた東福岡ー東海大大阪仰星の試合についてのエピソードからラグビーの本質や高校生とは思えないラガーマンの境地、指導者の志を教えてくれる内容であった。ラグビーでは、勝敗がつかなかった場合には「引き分け」となる。そして、トーナメント戦であった場合は、どちらかが先に進む。それを抽選で決めたという試合である。もちろんそれがルールだからだ。しかも、会場はコロナ禍のため、全国大会であっても無観客であった。そんな環境がキャプテンに「30人でラグビーをしている一体感がありました」と言わせる試合になったのかもしれない。
簡単に抽選になったわけではない、延長のない高校の大会において、ロスタイムが18分という異例長さで行われた試合の結果が抽選である。そして、その試合の現場にいたチームや人には、それぞれのストーリーがある。その一つ一つが、この日にドラマを描いた。真実は物語よりもずっとドラマチックで、現実だからこそ伝わる熱さがある。
「本当に高校生なのか?」「その切り替える力はどうして」、そう疑問に思う一つ一つに指導者の思いや、指導、子ども達の経験が裏打ちを与えるのだ。すぐに読み終えてしまうだろうと思って読み出したが、メモを取りたくて仕方ない・・・そんなわけでなかなか読み進まない。試合を想像しながら、自分ならどうすると思いながら、そんなふうに楽しめる読書の時間となった。
これは誰かに勧めたい。開いて子ども向けの本だと思って、書架に戻さないでほしい。そして、ラグビーでなくともこの境地に行ってみたい。ふと手にした本との出会いが、私にとって大きな出会いとなった。



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