クスノキの女神 (東野圭吾)

小説

 東野圭吾の小説は面白い。しかし、読んでその時は楽しいのに内容を忘れていく・・・。今回、この本が出たときに、面白かったクスノキの番人の続編だと思ってすぐに購入した。ところが、読んでいると、前回の物語の内容を振り返るシーンがいくつかある。どんな物語だったかなぁとしばらく考えてしまうということを繰り返しながら読み進めて行った。ようやくこの物語に集中できるようになったのは後半に差し掛かってからである。こういう本はシリーズが完結してから一気読みをするのが良いのかもと思った。

 物語の登場人物に軽度認知症の老女と脳の障害で寝ると記憶を失ってしまう少年が登場する。物語の内容を忘れている自分も含めて、なんとも複雑な気持ちなる。今回は強盗と傷害事件の謎を解くミステリーというわけだが、話の本筋は別の場所にあり、そこに並行してミステリーが伴奏するという流れであった。

 未来を知ることができることが幸せなのか・・・そんな問いの中に物語が展開していくところまでくると一気に読み進めることができる。想いを預けることができるクスノキとその番人である青年が中心となり展開されていく物語と、読者に伝えたいメッセージが程よく絡んで読み終わったときには心がほっこりするのは前作と同様なのだろう(前作の感想を読んでみると、わさわざクスノキをみに行ったことを思い出した)。

 ただ一つ・・・クスノキの番人は文庫本だった。文庫でシリーズかと思えば、今回は単行本で、価格もちょっとお高い。文庫が出るのを待てなかったので仕方ないが・・・。物語は文庫本で統一してほしいと思うのは私だけであろうか。

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