友罪

小説

 薬丸岳の書く小説を初めて読んだ。重い…。たまたま出会った友人が元殺人犯だったら…。この小説の趣旨は、最初は知らなかった過去を知ってしまったことで、友人という関係が変わっていくことを題材にしている。

 ただ、それだけではない。登場人物の何人もが過去の自分を後悔し向き合っているのだ。

 時に、その元犯罪者に励まされたり、罪状の大小に悩んだり、罪ではない好奇の目にさらされて、えぐられてる女性も登場する。

 読めば読むほど重い。故意に起こした殺人と、偶発的な事故による事故死と、その違いは何だろうか。罪を償った人と、過去を捨てたい人との間にあるものは何だろうか。

 答えがない。

 物語の途中に出てくる、「親子関係の中で生まなければ犯罪者の親になることはない。」という趣旨の言葉に親の責任と家族とは何かを考えさせられる。

 どの十字架も背負いたくない。しかし、背負う可能性もある。最後に救われる思いになるわけでもない小説だった。

 最後に自分と向き合うことや過去と向き合うことで友罪となる。読み終えて「ふっ」とため息がでる小説だった。

 もっと明るい小説が読みたくなりました。

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