雲の階段

小説

 友人にオススメの小説を紹介してもらった。それが雲の階段である。

 東京の離島で医療事務で働く青年が、医師不足の島で医院長に医師としての技術を教わりながら、高校しか出ていないながらも医療行為を行う。だが、島の医師不足は深刻で技術をもつ青年は次第に医師として扱われるようになる。

 そこで出会った女性と恋をし、その父親の大病院に医師として働きながら、偽医者であることがいつバレてしまうのか、その危機と医者としての信念や、お金持ちと貧しきものの医療差別について考え、結果的にはそれが原因で出会った昔の仲間からも揺すられるようになり、自分の首を絞める。

 さて、上下巻に別れた長編小説で、いつ偽医者とバレてどんな扱いを受けるかをドキドキしながら読み進めたが、いっこうにバレることもなくページ数は減り、最後は…。なんとも許せないきれいな終わり方だったと僕は思う。

 この小説について僕は紹介してくれた方になんと報告しようか。

 ストーリーはとても面白くドキドキする。主人公の気持ちもよくわかり、なんだか自分も今の仕事が偽物として携わってるような感覚をおぼえた。決断できない主人公は、その時々に流されて行き着くところまで来てしまった。僕自身も似たところがある。その時々に言い訳を言いながら流される傾向がある。自分に似た主人公にイライラし、共感し、羨ましく思ったり、いろいろな自分に出会いながら読み進めることができた。

 そんな最後がさっぱりしすぎて残念な思いが残る小説でもあった。読んでいてなんとなく口調を真似てる自分が可笑しかった。

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