あなたの人生、逆転させます

小説

 岡田尊司という精神科医の新書は読みやすい。そんな彼が心理を題材にして小笠原慧というペンネームで小説を書いている。

 精神疾患の症状やその治療について、物語として書かれていると理解しやすいし、想像をしやすい。
今回は新米の心理士がクリニックで仕事をしながら精神科医の先生からアドバイスを受けたり、他者の治療に自分を重ねたりという物語だ。

 最初はとっても興味深く、実際の心理療法もこうやって行われるのかと思って読んでいたが、愛着についての話や性に関する話が出てくると、本当にそうやって決めた治療でいいのだろうかと疑問に思う。

 物語なのでうまく転がるようになっているだろうし、その考えは確かにぴったりくなるなぁと思うのだが、心の奥底でなんか違うというかそんなに単純なものなのだろうかと思う。

 しかし、この物語では病院でのことが書かれているだけで、実際の生活の中でどんな風に苦しんで改善していくのかということは当然のことながら書かれていない。変に専門家の書く小説だと思って読むからやっぱりよくないのかもしれない。

 小説家として書いた物語はそれ以上でもそれ以下でもないのだろう。それでも内容としても興味の湧くものだったので楽しく読み終えることができた。リアルと想像を切り分けて読む必要がある小説だと思う。

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