アルケミスト

小説

 ある日、傷ついた僕が旅に出た。そして、多くの出会いが僕を助けてくれた。そんな旅は終わってしまったが、そのひとつの出会いがぼくにこの本を与えてくれた。

 僕はその旅の中で、すでに多くの勇気付けられる言葉をその人からもらっていた。この本はその言葉の一つ一つを思い出しながら読むのに最適な本であった。さて、アルケミストとは錬金術師のことである。鉛を金に変える。

 一人の少年は、旅をするために羊飼いとなった。そして小さな恋をしながら、その仕事を全うすることで幸せに暮らすこともできた。でも、少年はちょっとした出会いから人生を大きく変化させていく。自分の感覚を信じ変化を怖れなかった。ひとつの信念を持ったとき人は強くなる。困難を楽しめるようになることを思い出させてくれる。そして、愛とは何かを見つけることでさらに大きな力を身につける。出会う人のなかには、やりたいことを夢のままにして生活する者や、本を読んで理解しようとするが実践しないもの、恐怖で動けなくなってしまう者もいる。そう言うなかで少年は本物の宝を探していくのである。そして最後に彼の羊飼いとしての経験も役に立つのである。人生には意味のないことなどない。意味を見つけ出す努力をするか否かの問題であることを教えてくれる小説であった。

 さて、これを読んでいるのは旅を終えた現実世界である。多くの人を傷つける言葉が飛び交うところで、この本と向き合ってきた。この本を僕に与えてくれた人の愛を感じながら、読み進めるには、もしかするととてもよい環境だったのかもしれない。なぜならこの本と、その人の言葉があったから、自分は乱されることなくここにいることができた。

 きっと神様からの贈り物だったのだろう。

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