常識を疑う心理学

心理学

 奈良大ブックレットということで、奈良大学の心理学の先生方の共著の一冊である。分厚い本ではなく、読もうと思えば一日で読めてしまう厚みの本だ。専門書ではなくて、一般向けに書かれた本は、高校生が進路選択の材料として読めるくらいに、専門用語を使わずに、心理的な課題や心理学への向き合い方がまとめられている。

 5名の先生方の共著なので、テーマも5つ。その内容は「もてるもてない」「育休をとるとらない」「日本人の自尊心」など幅も広い。そして、心理学という学問が、どのようにして研究されているのか、ちょっと驚きの無意識への研究なども取り上げられている。

 例えば「男性が育休をとらない」ことを心理学的な視点から見てみる。日本における育休をとれる制度面でのバックアップは欧米にも劣らない。では、なぜ育休をとる男性が少ないのか。そこに心理的なアプローチで研究をしている。読んで思うことは育休となるとハードルが高いし(この考え方がすでにネガティブ)、育休以前に日本人の多くが有休をとらないのではないだろうかと、自分なりの仮説を展開できていくのも、わかりやすいテーマであるが故だ。

 カウンセリング現場での、ちょっとしたきっかけが相手の真意をつくことも書かれているが、同様にたった一言で人の心に大きな傷を与えてしまうこともあるのだろう。

 心理学って大学で何を学ぶの?もしくは、心理学って具体的にはどんなもの?そういう人から読める面白い本であった。

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