伝わる・揺さぶる!文章を書く

How to

 こうやって本の感想や紹介を書くことも含めて、インターネットが普及したら文字に残すということが増えてきたと感じる。ブログを引っ越すという作業の中で、これまでの自分で書いた文章を、改めて時を経てから読み返してみると、「なにを書いているんだろう?」と考えてしまうという体験をしている。さて、文章というのは書き手の人柄を表すものであるのだろうか、自分自身でもうまく言い表せていないことがたくさんある。この本を読んで、「あぁそうだ」という納得感を感じた。

 基本的には高校生の小論文指導から、メールの書き方を扱っている。その書き方は共通するところが多い。自分でも、「わかる~あるある」と感じたことは、書きだしたことと結論が全く違う内容であることだ。文章というのは書きながら自分の思考を整理していくが、書きだしたテーマを途中で見失ってしまうことがある。文章に一貫性を持たせるということがいかに大事かを、スタートとゴールが違う文章を事例にあげて修正していく作業の中でわかりやすく説明してくれる。

 誰にとって必要な内容かということ、相手を考えて書くということを再認識させてくれる。自分の都合で書いた文章は相手にとって読みずらいことは言われてみると当然のことであるが、実際に自分が書いたメールを読み直してみると、こちらの都合ばかりのことが多い。相手の視点や立場を考えながら書くことと、時間軸を入れて説明することがいかに大切であるかを再認識する。しかし、相手のことばかりを考えて、自分を失ってしまっては私が文章を書く意味がいない。自分に正直であることも忘れてはならないポイントだと教えてくれる。

 言葉による「思考停止」というのは、目からうろこの気づきを与えてくれた。「素晴らしい」という一つの言葉を使うことで、他の表現を辞めてしまう。会社の社長がスローガンを発信して、社員はそのスローガンを使うことで思考停止してしまう。一つのスローガンを自分の感覚で読み直すということをせずに、他社を説得する際に「社長が言うように…」としてしまって、自分は思考停止していることに気づかない。この視点は私自身すごく(←このすごくが思考停止させているのかもしれない。これまで考えることが面倒な時に、すごいとか素晴らしいとかの単語に集約させて自分の思考を停止させて、何が?どう?を感じることから逃げていいたのかもしれない)学びになった。

 一つのキーワードで誰かと議論をするときに、「全然意見が合わない」という経験をすることがよくある。ところが、そういう会話を外から聞いていると、お互いに同じようなことを言っているのに何を揉めるのか?という経験もある。そこにはキーワードに対する定義の違いがある。言葉とは同じ言葉を人によって違うにニュアンスで使っていることが多い。お互いが一つの言葉の定義を確認しあうことで解決する内容も多いのだと分かった。

 著者は、長年ベネッセで小論文指導を担当した山田ズーニーである。読み始めは、新書なのに、なぜ左開きで横書きなのさ、と読みづらさもあったが、読み終えてみると、慣れてたのか読みやすいし、手軽に読めるのに、内容が濃い一冊だった。

 文章を書くために意識する本をこれだけ納得しながら読んだ私の文章が…変わっていたらいいのだが、理解することと実践はなかなか噛合わないのが現実なのである。

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