闇祓 (辻村深月)

小説

闇ハラスメント…怖い言葉である。自分の事情や思いを相手に押し付けてくること。この小説はそんな闇ハラを振りまく家族を闇祓する物語なのだが。小説というのは読むタイミングが大事だと感じた。体調が悪く熱が出たり頭痛があったり、そんな中で借りてあった小説を読みだしたのがこの小説だったが…タイミングが悪かった。熱のせいなのか、小説のせいなのか、うつらうつらと何度もうなされた。きっと熱のせいだろう。でも、ゾッとする感じというだろうか、ゾワゾワすると表すのだろうか、そういう物語であったのは間違いない。

いくつかの短編かな?と思いながら読み進めていくと、しっかり一つの物語となる。最後の最後にはありえない結末となったので、「そうだよなぁ物語だもの」と逆にホッとしたくらいだ。それくらいこの闇ハラは世の中にあるように感じる。集団に新しいメンバーが一人加わるだけでそれまでの雰囲気がガラリと変わる。ちょっと変だなぁと思いながらもなんとなく言われるがままに従ってしまう。相手のためと称しながらもどちらのためかわからなくなる…。どことなく世の中に存在することが誇張されて、その一つ一つが物語として結びついている。

小説としてはとてもよくできている。きっとそれは私たちがちょっと感じていることをちょっとずつ絡めているからだと思う。近すぎては読めないし、別世界ならそんなに怖くもない、でも、「ありそうだ」というこの感覚がこれだけの恐怖心を呼び起こしてくるのだろう。

それにしても体調の悪い時に読む本ではなかった…。汗

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