この頃、文章の力について考えることが多い。文字というものその一文字では何も感じないし、意味を持たないものすらある。ところが、それを重ね合わせることにより、人を泣かせ、怒らせ、笑わせる、まさに人の感情に影響を及ぼす。
では、そういう文章というのは何か?
そう思いこの本を手に取ってみた。「言われてみればそうである」という内容であった。書いたのは笑える文章を得意とする清水義範である。
そんなわけで最初の「笑わせる」文章の書き方は、納得しながら、そうかそうかと読めるのだ。そして、「怖がらせる」文章というのも、オノマトペを多用することで恐怖心が出てくるのは、官能小説と基本は同じだということにも、驚きながらも納得する。
しかし、途中からもはや無理に書いているのでは?と思わせる「怒らせる」文章や、他にも何かあるのでは?から出てくる「和ませる」文章までくると、ちょっと蛇足感が否めない。
こうやって読んでみると、自分にとって興味のある項目はじっくりと読みながらよく考えるわけで、それは小説にしてもエッセーにしても同じである。そして、この人の物語は好きだなぁとなっていき、何冊も読み重ねて引き込まれていく。そこには意図された書き方もあるのかもしれないが、その人の書き方がどんな物語に適しているかということが重要にも思う。そうやって得意分野を見つけることで活躍の場を見出すこともできるし、一方でそもそも文章を書くということがいかに難しいことであるかを考える本であった。
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