心を鍛える (堀江貴文・藤田晋)

エッセー

 これまでに、ホリエモンの本は読んだことがある。メディアではいろいろと言われる人であるが(言われることをバネにしているのかもしれない)、いつも話は一貫していて、その生き方を貫いている印象がある。一方で、藤田晋さんのことは全く知らなかった。もちろんアメーバーTVもAmebaブログも聞いたことがあるが、私の人生にはリンクしてこなかった。私も同じ時代を生きてきたはずであるのに、どうしてこうも違うのか…それがよくわかる内容だった。

 成功した人には、それぞれの成功への道があるというのがよくわかる。もちろん似ている部分もあるが、大事にするものが違うところもある。明暗と分けるとすれば、今どちらの面が見えているかであって、二人の人生の中にそれぞれの明暗がある。

 そして、二人に共通することは、自分に合った方法を貫くことと、そして、転んでもただでは起きないというよりも、転んで学ぶことで心を強くしているということだと思う。はたから見えれば、虐待だったり、訴えたら、辞めたらいいのに…と思うようなことを乗り越える?というよりも、学びに変えて自分の強みにしていく。こうやって心を鍛えてきたのかと納得の内容なのだ。一つ間違えれば若いころの経験が、自分を潰してしまいそうであるが、紙一重なのか、物事の見方が違うだけで同じ経験の捉え方が変わるのか…。そう捉えてることができたのか、というのは成功して振り返るからなのか?と、斜めに見てしまう自分がいる。

 そして、社会人になった頃の話からは、サラリーマンをしている自分とは違い過ぎる生き方を知る。「今更なのか」と思ってしまえばそれまでであるが、やはり学ぶことは多い。私にとっての普通は、二人にとっては「洗脳」だと考えられているようだ。今思えば、確かに、みんなと同じで、良い企業に入ることや、公務員にでもなることの方が安定しているなんて思ってきたが、自分を出せずに、誰かの指示の下で仕事をする、ただ生活費を稼ぐことに疑問を抱く今日この頃。藤田さんの会社のようなベンチャーからの精神を続けている会社はその社員も働くことが楽しいのだろうか?しかし、二人ともが裏切られ、失敗し、どん底に落ちながら、信じた道を突き進んできて今があるわけだから、言葉に行動が裏打ちされていて身に染みる。

 最後に、至極真っ当である誰かのために働くことの強さを二人がそれぞれの目線から話すところが面白いし、だから受け入れられて成功していくんだろうと考えさせられる。自分のためではなく、今の世の中を社会をどうしたらもっと楽しくするサービスになるか、困っている誰かのために、よりよい環境を作るためにはどうするか、問題が起こったときに、リカバリーするためにはどう動くか、状況に応じて「愚痴を言う」のではなく「行動する」そんな姿がとてもまぶしく感じる一冊であった。

 この本を読んで、「もっと若ければ…」と、それでも言い訳を言いそうになる自分が情けない。今からでも、自分を変えることができれば、新しいスタートを切れる。だって、二人は常に変わり続けているし、そうすることで強さを身に着けているのだから。学び多き読書になりました。

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