進化する勉強法 (竹内龍人)

How to

 教育心理学の分野では多くの研究がなされてきている。そんな研究の中でも実験によって有効性を認められたものを集めてきたのこの本である。心理学を専門とする大学教員によって書かれた本ではあるが、難しい内容はなく、一つ一つのキーワードを紹介しながら、その具体的な実験の説明とともに解釈がなされていく。

 もちろん実験の説明を読んでいると、この実験がその状況を説明できるのだろうか?という疑問も出てくるが、それはもはや実験心理学の限界であるともいえる。これまでに聞いたことのある学習のコツが具体的な実験とともに紹介されているわけだから、コツが裏付けありの理論に変わっている。

 なかでも自ら問題を先送りにして取り組まない、セルフ・ハンディ―キャッピングの理論から、テストへの考え方の違いについてはとても参考になった。能力をほめるのではなく、努力を誉めることで、テストは努力の結果だと捉えることができるようになれば、課題に取り組むことができるというのも筋が通っている。親や教師が、子どもにどのように声掛けをするか、アドバイスをするか…そんなときの一助になる本であった。

 さて、この本をよんで「ふむふむ」と納得しているだけでは本来の目的を果たさない。自分が取り組むにせよ、誰かの応援をするにせよ、実践してこその学習なわけだから、まずは一歩。そんな最初の一歩を出すための心理学実験は…と、研究に頼ってばかりでは先に進めない。

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