告白の余白

小説

 紹介されて読んでみました。この物語…面白い。そして題の通り「余白」が果てしなくある。京都の歴史と地名や伝統文化を感じながら読み進めていくと、その京ことばの難しさと怖さがわかってくる。
きれいな言葉に見せた「回りくどい嫌味」は、額面通り取れば、誉め言葉であり、裏を読めば嫌味。そんな世の中で生きていくのは苦しそうだ。

 こういうことは日本文化の中でも京都ほどではないにせよたくさんある。

 そして、聞いた側がどうとらえるかによってその意味は全く変わる。そんな一言一言ひ余白がある言葉で繰り広げられていく物語は、何重にも意味を付け替えることができ、どこまでが本音でどこまでが嘘なのか、それともそもそも本音が含まれた部分があるのか…振り返って考える解釈はいく通りにもなる。

 そもそものストーリが終わって、また混乱させるストーリーが現れる。読んでいて、「え?」もしかして結論はそうじゃないのか?と思わせといて、答えは余白のまま。何通りにも結論を考えることができるような工夫は最後まですっきりしない。

 京都がなんとなくわかるが、京都はこんなところだと、物語だけで理解するのも失礼な話なのかなぁ。それにしても、誰かと一緒に読めたなら、自分なりのストーリーを話してみると面白い事後談ができそうな物語であった。

 果たして京子の真意はいかに?母親や木村の算段はどう考えるの??読み終えてなお続く自分だけのストーリー。

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