教育哲学

哲学

 教育関連の本を読んでみると、では、教育は何のために行われるのかと考えるようになる。そんなわけで教育哲学と名のつく本を手に取ってみた。著者の宇佐美は痛快に教育哲学研究者の批判をする。 

 研究とは自分の新しい発見や自分の考えを示すものであり、どこどこの国の誰々さんが語った、書いた本の紹介をすることではないとのことである。

 教育哲学の本を手に取った理由はまさに、その過去の偉人がどう考えたかを知りたかったのもある。ただ、それは教育思想であり教育思想史が正解だそうだ。

 では、教育哲学は何か。そのことについて他者の意見や論文を批判しながら、また自分の書いた論文と比較しながら話は進んでいく。この過程こそが哲学なのだと。教育思想は、踊っても、歌っても、読経しても、どんな表現方法でも発表はできる。実践が伴い、その人の人柄にまで触れられる。教育哲学は、そういった思想の概念を分析し、作り直し、透明にする学問だそうだ。

 他者の教育関係書籍を読み、自分はどんな価値観を持って教育を実践できるのかを、自分の教育観を批判し疑問をもって、自分の新しい概念を発見していく過程が教育哲学なのだ。

 実践をしている人の中にこそこういう〈疑い〉や〈批判〉がある。実践していない人の絵空事では、哲学には至らない。日々行われている教育活動を、その人が語る、書くのは教育思想である。

 書いている自分自身も混乱してくるが、とても意味深い問いを与えられたように思う。日々の実践に哲学の一面を持ちながら、実践者として教育思想を作っていくことに価値がありそうだ。

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