疾走

小説

 にんげんの弱さ、にんげんのの汚さ、にんげんの純粋さ、にんげんの醜さ、にんげんの…。多くのにんげんを、ここまで書くかと、気持ち悪くなるくらいに不幸にえげつなく、こんな物語を読んでいく自分は何者なんだろう。

 読み終えて残るのは物語で、フィクションで、現実ではないと言い聞かせる自分。

これはいかん。
これは…
重松清。

 あなたはどんな思いでこれを書いたのだろう。物語の中でくらい幸せな部分が作れただろうに。そんなことはしない。いつもの様に重箱の隅をつつくごとく、汚くねちねちといたぶる。

あなたの世界ですか?
でも、嫌いではない。
フィクションだから。
ぐいぐい読んでしまう。
自分の弱さをさらけ出しながら。

 この世界を見たなら、目の前の日々はとてつもなく平凡で幸せなのかもしれない。フィクションはフィクションのままで。

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