叱らない、ほめない、命じない 新しいリーダー論 岸見一郎

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著者の岸見先生は、日本におけるアドラー心理学の第一人者であり、哲学者である。先生の著書は本当に学びが多い。人間関係に悩んだ時、仕事に行き詰まった時に、図書館で出会うのである。今回の本もそうであった。求めて、アンテナを張っている人の元にちゃんと情報は届くんだと思います。

 さて、今回の本の内容は、これまでのリーダー論への挑戦のような内容である。「叱らず、ほめず、命じない」とすれば、リーダーは持つべき武器を全て奪われてしまったようなものである。それでも、そのタイトルを読んで思ったこと「どうやって?じゃぁ他に何が?無理でしょ?」ということを、読み進める中で解決していくことができる本であった。リーダーシップのあり方が変わったのだ。変わらなければいけないのだ。

 私は、いつも本を読んで、心に残ることをメモに取る。今回は読んでいるのを何度中断してメモをとったことか。それくらいに新しい気づきや「勇気」を与えてくれる本であった。存在としては対等であり、役割が違う。課題分離のできることと共通の課題への対処の違い。後半には新しいマネジメント方法で企業を運営しているリーダーたちとの対談が載っているが、これがまた実践と理論を行ったり来たりとするのである。

 今回の本は、「嫌われる勇気」や「幸せになる勇気」と同様に、著者である岸見先生のところへ相談者が来て、悩みを打ち明け共有し、新しい考え方やリーダー論を学んでいくという物語?のようなスタイルの本でとても読みやすかった。

 特に、私の胸に刺さったのは「Yes,but」である。「わかります。でも・・・」この論調を私も気付かぬうちに使っている。頭でわかっても実践は難しい。かつて、先輩から同じことを指摘された。『お前はいつも「でも」という。聞く気がないのだ』と。まさに、今回の中でも同様に同じことを指摘されたように思う。自分を変えなければならない。変えられない理由を探すのではなく・・・。

 アドラーの価値低減傾向という考え方もとてもよくわかる。パワハラをする人は基本的には無能なのだとはっきりと言うのも気持ちがいい。そこに、「でも」はない。

 仕事の中で、家庭の中で、活かすことのできる内容が多い本であった。良い本に出会ったと読み終えて思う。

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