闘争の倫理 スポーツの根源を問う

ラグビー

この本が復刻された買わないわけにはいかない。
大西鐵之祐の最後の著書であり大西哲学の集大成である。
なぜ我々は体育を学ぶのか。その事に熱く答える内容である。
ルールを決めてそれを守れというのでは、僕は人間は進まないと思いますね。ルールの前に人間があるという考えからすると、教育は人間ですから。常識のルールのなかでいくんじゃなしに人間としてこれはいかんという、そこを身をもって教えていく。それが闘争の倫理と言うものですよ。
体育に関わる人にとってこういう理論というか哲学が語られた本は、体育こそ教育であると感じさせてくれる支柱になる。
昨今、体育は危険というレッテルを貼られ、安全であることばかりが強調されている。しかし、どんなに対策してみたところで最後の部分は危険であり危険だからこそ教育の意味があるし真剣になれるのだ。
また、学歴偏重の社会においてこういう理論ゆえに体育教育が必要であると声を大にして叫びたい。ほら見ろ、体育教育を軽んじたばかりに闘争の倫理も身につけず、きれいか汚いかの判断もできない人間を育て、世の中でこれほどまでに奇っ怪な事件が起きているではないか。見つからなければ法に触れなければ、そんな誤った価値観が蔓延っているではないか。
読むたびに深く感化される一冊である。
そして、今回復刻を手掛けた鉄筆文庫を今後も応援していきたい。

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