人生の答えは家庭科に聞け!(堀内かおる)

How to

岩波ジュニア新書の一冊である。子どもたちが読みやすいように、話題提供はマンガのストーリーとして、答えは見開き2ページで身の回りの高校生の疑問に家庭科という観点から答えていく内容である。答えていくといっても、どれも答えという答えはない。まさに、10人いれば10通りの生き方や考え方がある。自分の考えが正しいとも言えないし、間違っているわけでもない。他の見方や考え方もあるんだよと紹介していく内容であった。

「人生の答えは」と言われると大げさではあるけれど、数学や英語・国語といった教科に重きを置かれる中で、それだけじゃぁ社会は生きていけないよなぁと思うことは、家庭科や保健体育などを通して学校で教えてもらっているはずだ。でも、こうやって本を読んでみると、「こんなこと習ったかな?」と思うことばかりである。

あとがきに、いろいろな選択肢があってそういう情報を知ったうえで選べるということが大切だと書いてあるが、実際には選択肢を与えられて選ぶほうが簡単である。それも選択肢が少ないほうが狭い意味では幸せになれるんじゃないかとも思う。そう考えだすと、プラトンの洞窟の比喩みたいになってしまうが…。かつての固定された考え方があるというのはそこに適合できる人にとっては楽な生き方であった。でも、現在は多様性を認め合う世の中になろうとしている。そんな中で益々、家庭科や保健などで教える内容は重要になってくる。選べるからこそより良い選択をというわけだ。これまでは答えがあるものを求めるという教科に重きを置かれてきたけど、実際には答えがあるわけではなく、答えを作ってそれを導くための問題が与えられてきただけだ。本当は自分の持っている課題や自分の生き方にどのように向き合っていくのかということが大切になってくるんだなぁと思いながら読めた本であった。

身近なことで当たり前だと思いがちなことへの見方を見直すきっかけになる一冊だろうな。

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