それでも空は青い (荻原 浩)

小説

 新しい作家に挑戦するときは、友達にどんな小説がいいか選んでもらうといいのも一つの方法。さて、そうやって小さなきっかけの中で選んだのが、この小説だった。

 ボジティブな話、ホッとするような話を求めて、手に取ったのだが…思ったものとは違う。短編小説ので一気に読み進めることもなく、長い時間がかかってしまった。

 そのなかの何作かは野球が話題となることが多く、わりと切なく終わってしまう。青春ストーリーと言えなくもないが、小説だからといって夢は叶わないし、うまくまとまるわけでもない。しかし、最後の短編「人生はパイナップル」は面白かった。映画のストーリーになりそうだし、読んでいてジーンとくる感動もある。そんなちょっとした心の揺さぶりを感じながら、解説を読んでみると短編集だからこその重なるものを改めて振り返ることができて、満更でもない本だったと思えてくる。

 途中は突拍子もないような幽霊話や双子の妙に納得できる恋バナなんかもあり、物語の内容としては幅が広い短編集であった。

 さて、秋が深まるというのに、読書の秋とはならなかった。積まれた専門書や新書に手を出さねばいけない。

 

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